いつの頃からか、気に入った文庫本をお守り代わりに持ち歩いている。
20代の頃は、マルクス・アウレリウスの「自省録」。
30代は「老子」、「武士道」。
いつ何時でも、自分の矜持を保ち続けられるように。
そして最近はずっと「風姿花伝」。
能楽の祖、世阿弥が記した能の聖典。
格調高い芸術論、日本の美意識の教典。
銀座松屋で開かれた「観世宗家展」で、この「風姿花伝」の世阿弥の直筆を見ることができた。
約600年も前のものであり、展示するだけでも負荷がかかるということで、今回限りになるという。
世阿弥が書いた文字。感動のあまり気絶するかと思った。
人格統合の最終目的は不動心かもしれない。
何物にもとらわれないニュートラルなマインド。
人としての尊厳である「自由」は、ニュートラルなマインドから生まれる。
過去にとらわれ未来を案じ、常に「ここではないどこか」に思いを馳せ、今この瞬間にできることから目をそらし、勝手に焦燥感を感じていた時代、時間は無意味に過ぎて行った。
時間と自分は分断された。
この世の現象は常に2つのみ。
統合と分裂。
能の神髄は、一瞬に永遠を込める。
今この瞬間に過去と未来が混在する。
「今」この瞬間に集中した時、
時間は自分自身になる。
p.s.銀座に行った時に必ず買う、ダロワイヨの紅茶を買おうと思ったら、店舗が移転していた。
ダロワイヨと私は分断された(泣)
本日の気分は「若竹色」。