ちょっとした理由があり、本棚からゲーテ詩集を何年ぶりかで手に取った。
ざっと読んでみて驚いた。なんというか、胸を打ち砕かれそうになった。
この本を買ったのは高校2年の時だったのだが、その時は何篇か気に入ったのがあったという程度だったように思う。
栞が挟んであるページは確かに高校生の頃、繰り返し何度も読んだ記憶のある数篇だのうちの一つだった。
「空気と光と、
そして友達の愛!
これだけ残っていたら、
弱りきってしまうな」
なぜ繰り返し読んでいたのかも覚えている。
そして今日読んで、まるで記憶に残っていないある一遍に心を揺さぶられた。
「バラの季節過ぎたる今にして、
初めて知る、バラのつぼみの何たるかを。
遅れ咲きの茎に輝けるただ一輪、
千紫万紅をつぐないて余れり。」
セピア。