先日も書いた通り、ロシアの伝説的名バレリーナ。
マイヤのプロフィールから始まって、バレエ学校時代から年代順に追っていき、代表作の映像、インタビュー等で構成されていた。
一番見たかった「瀕死の白鳥」をついに見られた。
ナゼかマイヤのこの演目、滅多にお目にかかれない。
「瀕死の白鳥」は、サン・サーンスの「白鳥」という曲に振り付けをつけたもので、2分ほどだが非常にロマンティックで、悲しげで、情感溢れる曲。
白鳥がもがきながら息絶える様子をバレリーナが踊るのだが、その2分の間に凝縮された生と死のドラマに引き込まれる。
マイヤはこの演目を70歳を過ぎても踊り続けたそうだ。
マイヤが生まれたのは1925年。
ロシアでは1917年に革命が起こり帝政崩壊、1922年にソビエトが樹立している。
ユダヤ系だったこともあり、混乱の幼少期だっただろう。両親は処刑されたそうだ。
幸運なことに、ソビエトではバレリーナの地位は非常に高かった。
天性の才能もあっただろうが、生きるために踊り続けなければならなかったのではなかったか?
そういえばマイヤの自伝のタイトルは「闘う白鳥」。
歳を経れば経るほど「瀕死の白鳥」に磨きがかかるのもうなずけるというものだが、マイヤの苦闘の人生をそこから読み取ることもできないほど、ただ純粋で高潔で美しい。
白。
29日夜、録っておいた熊川哲也の特番を見た。
昨年、「海賊」を見たいなぁ~と思っていた矢先にケガをしてしまい、先日カムバックするまでの日々を追ったもの。
今までにこういう、彼のインタビューのようなものをじっくり時間をかけて放映したものは見たことがなかったので嬉しかった。
強く思ったのが、先日ライガーについて「真夏の太陽のようだ」と書いたけど、熊川哲也も同じような印象を受けた。
ただし、もっとサワヤカな「真夏の朝日」という感じかも…。
ところで、そのカムバックの舞台だけど、ナント!
創作バレエで、ベートーヴェンの「第九」ですよ!!
なんという恐れ知らず。
正直、見たかったです!! どうして気づかなかったのでしょう。それは私がちゃんとチェックしていないからです。
というか、1月にボン・ジョヴィのライブを見た時に、もう次のボン・ジョヴィまで何も見られなくてもいい~♪ と思っていたのに図々しい。まだ2ヵ月しか経っていませんよ。
そんなに頻繁に見に行っていたら破産してしまいます。
ただ、昨年、中国の劇団の「アクロバティック白鳥の湖」を見てからなんか気持ち悪い。
あの奇妙な舞台を思い出すと夢でうなされそうです。
早いところKバレエカンパニー(熊川哲也のバレエ団)の舞台であの悪夢を払拭したいのです。
ちなみに、今回の舞台「第九」は赤坂ACTの杮落としだったそうだ。
ダークグリーン。
今日、5月にチケットを取った「アクロバティック白鳥の湖」を見に行った。
ひとことで言うと…正直いって期待はずれだった。
主役の2人のアクロバティックな演技は素晴らしかったのだが、いろいろな意味でその魅力が十分に伝わらなかったように思う。
まず舞台装置。
通常、クラシックバレエの「白鳥の湖」は、第一幕が開くと湖に白鳥が泳いでいるシーンがあるのだが、それは模型の小道具だったりシルエットだったりする。
それが、白鳥というかアヒルのおまるのようなのが出てきて、いきなりテンションが下がった。
しかも妙に大きい。
後に出てくるラクダやゾウと同じ大きさというのはどういうことでしょう。
又、あれだけアクロバットが凄いのだからシンプルに背景のシルクスクリーンだけにした方がいいように思うのだが、なんだか舞台全体に森を模したチープなアーチのようなものがかかっていて、上にはこれまたチープで中国チックな白鳥のエンブレムらしきものが2つ。
しかもこれまた妙に大きい。
それから演出について。
シリアスな演技の直後になにをしたいのかわからない、中途半端なクラウンのような役割の人が出てきて、どう反応すればいいのか疲れた。全幕通して緩急がなかったように思う。
これを見て、4月に見たシルク・ドゥ・ソレイユの「ドラリオン」は凄すぎると改めて思った。
特にクラウンの演出が素晴らしかった。
ところで、もしかしてこれって、シルク・ドゥ・ソレイユを激しく意識しているっぽいかも…。
だが悪いが、演技は素人目に見ても違いがよくわかる。私は違いのわかる女(爆)というか、両方見れば多分みんなわかる。
例えば、シルクの超絶的な演技を差し引くとしても、コール・ド(群舞=主役の背後で大勢で踊っている人たち)の揃わなさ加減は見ている方が心配になる。
いやもしかして、これはコール・ドではなくソロの集まりで、みんなで成功させようとする気持ちがシンクロして自然と同じポーズになったのか! 素晴らしい。
又、「大きい白鳥の踊り」の群舞の人たちは、ロングスカートのチュチュで見えなかったが、あれは絶対片足が台車に乗っている。
中国雑技団の見せ場であるアクロバットや演技がいろいろあったのだが、明らかに観客にわかるミス(小道具を落とすetc.)が2回もあり、休憩を挟んで幕が開く時、左側の幕が一瞬ひっかかって左右対称に開かなかった。
見れば見るほど心配になる。
この演目は、オデットが王子の肩や頭のてっぺんで舞うところが目玉になっているのだが、もしかして落ちやしないかとだんだん心配になった。
こんなところで人の心配をしたくない。シルク・ドゥ・ソレイユならミスすることは100万分の1もありえない。
総じて、シルク・ドゥ・ソレイユのような、いろいろなジャンルが完璧に融合して新しいものを作り上げたというようには見えず、中国雑技団が「白鳥の湖」のコスプレをしているような印象を受けた。
これはこれでまた興味深かったと言えるかもしれない。ただしポジティブな興味ではないが。
これから見てみたい方に1点注意事項があるのですが、ありえないことがあります。
例えが古いが「白鳥の湖」でこれがないとは、ナントカの入っていないコーヒーです。
それは…黒鳥の32回転。ありません。12回転だった。
まぁいくら中国雑技団のスターといえども、バレエができるわけではないのだから仕方がないといえば仕方がないが…。
主役の2人のアクロバットは素晴らしいのだから、いっそのこと他の雑技は全てやめてこれだけにしたらどうかな~。
韓紅。
先日借りてきたボリショイ・バレエの「白鳥の湖」、1回見てみた。
プリセツカヤが踊っているところを初めて見て感動でした♪
なんと1957年の公演ではないですか!
現在といろいろ違うところもあり違和感を感じたが、考えてみれば現在が洗練されつくしているのかもしれない。
舞台装置にしても、演出にしても、音響にしても、踊りにしても、バレリーナの体格にしても、ボリショイでさえこんな時代があったんだな~…。
こういうのを「味わいがある」っていうのかな。
でも、なんだかんだ言っても感動したことには変わりないのであった。
紫苑色。