帰り、「こんばんわ」という声がしたので見たら行きつけの美容室のスタッフの
方だった。
だいたい、私は歩いている時でも妄想をしているので、自分から知り合いに気づく
ことはまずない。
ただ、この時は珍しく妄想ではなくて、目の前に倒れている自転車に気を取られて
いた。
この方とは時間的にたびたび会うのだが、いつもは二言三言話をするが今日は
風が強かったし向こうは傘もさしていなかったので、「お疲れ様です」とだけ言って
帰ってきた。
家で改めて鏡を見たら、今日の風のためにヘアスタイルがベートーヴェンのロングバージョンのようになっていた。
あのスタッフの方は、そろそろ店に来た方がいいと思ったに違いない。
ブロンズ。