←帰りに駅前から撮った東京ディズニーランドホテル。
さて開演は14:00だが、客席への扉は13:30に開いた。
シルクの公演は、なるべく早く席に着いたほうがいい。というのは、開演までの時間、クラウンが観客を楽しませてくれるのです。
どの団体でもそうだろうが、サーカスはクラウン(日本ではピエロと呼ばれている)なしではありえない。
緊張感を伴う非日常的な演技を見て、少々疲労感を覚えるところで絶妙なタイミングで笑わせてくれ、リラックス&気分のリセットをしてくれる。
だからこそ2時間もの間、人間業とも思えないものを見続けられる。
当然、クラウンは高い能力を要求される。そしてその「クラウン」という名称は、その役割に対する敬意を表している。
シルクのクラウンは2人いるのだが、その掛け合いが楽しく、あっという間に開演時間になった。
シルクの演目を始めて観たのは昨年の「ドラリオン」で今回で2回目なのだが、クラウンの掛け合いから演目への導入、又演目の終わりからクラウンへ、という終わり方が前回より自然に感じた。
演目は「ZED」という主人公が天と地を旅する物語。
ZEDはタロットカードの「愚者」(←偶然にも最近写真をUPした)からヒントを得たようで、旅をしながら成長し、異なる2つの世界が融合されるというテーマがあるらしい。
真っ白な衣装、真っ白な髪、屈託のない、翳りのない笑顔と動作。小さい男の子のようだ。
そのZEDが語り部のような形で、アクロバットとアートが融合されたようなショーが繰り広げられる。
シルクの団員はオリンピック級の技術を持った人が高い競争率を潜り抜けて入ってくるという、どれくらい高度な技を持っているか創造もできないくらいなのだが、その確固たる技術があってこそ、このショーを演じられる。
その技術のみを少し書いてみると、例えば綱渡り。
綱にクロスする形で振り子のように揺れている、中に火が入ったボールをよけて行くのはまだ序の口。
綱の上にかがんでいる人を飛び越えて向こう側に行き、「リアル『ツァラトストラかく語りき』だ~!」などと驚く間もなく、次第に高度な技が披露される。
綱の上での縄跳び(二重飛びまでやる)、バク転、見ている方が怖くてあとは覚えていない。
その他、バンジー、バトン(ただ一人の日本人)、棍棒、ジャグリング、空中ブランコ等、ストーリーに沿って演じられて行く。
女神、シャーマン等のキーパーソンが全体を統一している。
鮮やかな衣装、音楽も素晴らしく、暗い会場での効果的な照明が幻想的な雰囲気を作り出す。
終わる頃には、夢を見ているのか、異次元の世界にいるのかわからないくらいのトランス状態。
最後は全員が舞台に上がるような流れで、自然な形で終了後の挨拶に移るため、こちらの気分も自然な形で平常に戻る。
最後の最後はスタンディング・オベーションだった。
今回も帰ってきてからもいつまでもパンフレットに見入り、頭の中で団員がエンドレスで踊っていた。
青。