全国的に怒りの渦を巻き起こしている「セシウムさん」問題。
「担当者がふざけ心で作製した仮のテロップを、操作ミスで放送した」とのことらしいが、自分が昔、広告のハシクレだったこともあり(紙の出版であり映像ではなかったが)、この「作る」という点について絞って書てみたい。
被災地への配慮という点から言語道断、非常識、問題外なのは全くその通りだと思うが、広告制作という点から見ても、ハシクレの私が言うのもなんだが、これほどセンスのない表現には未だかつてお目にかかったことがない。
製作をする部署というのは、とにかくスキあらば落書きのようなことをしたり言ったりする。
それがもうごく当たり前の習慣のようになっていて、どれだけインパクトの強い表現ができるか、おもしろいことが言えるかで、内輪であーだこーだと言っては周囲の反応に一喜一憂する。
今回のように自分で仮に記入していい空欄が3人分もあったら欣喜雀躍するところなので、「ふざけ心で作成」というところまではいいのだが、その表現が幼稚すぎた。
広告制作で一番気をつけなければならないのは、クライアントを怒らせないこと。
又、表現については楽しくなる、幸せな気分になる、元気が出る等、ポジティブなものが鉄則。
今回は怒らせないどころか侮辱してしまったり、住所欄のフレーズが住所とは関係のないものだったりと、広告としても遊びとしても眼も当てられない。
例えば、名前欄に任意で記入する場合。
役所などのお堅いところでは「岩手太郎」さん
あたりになるのだろう。
それが制作部だと、まず一番出てきやすいのが
「復興望(ふっこうのぞみ)」さん、あたり。
あと、「岩羽郎(がんばろう)」さん、「絆求武(きずなもとむ)」さんなど。
ちなみに、がんばろうさんの「ば」は間違っても「波」の字にしてはいけない。
住所「永田町」
氏名「責任取代(せきにんとれよ)」
となると、少しブラックになってくるが、内輪では気持ちはわかってくれる。
ただし今回のように表にバレたら軽はずみな言動について謝罪。
住所「岩手県宮古落市」(都落ち)
は即死レベル。
たまにここまで言ってしまう人もいるが、理屈を覚え始めた年頃の子どもが言葉遊びをする感覚で、本人は面白いことを言ったと思っている。
以前は広告代理店でも、新人は何度もダメ出しをされたし、ある程度の規模の会社はちゃんとした教育を受けられたのだと思う。
又、今回のようなひどいミスでも正社員であればまずクビにはできないので(ただし、いずれ本人が居づらくなり辞める)、ある程度まではちゃんと教えてくれた。
不況になると企業はまず広告費を削るので、今回も外部の人だったらしいしおそらく安いギャラで使える人を使い捨て感覚で使っていたのだろう。
例え問題があったとしても、自分の会社の社員でもない50歳を過ぎた人に、自分の時間と労力を使ってそこまで指摘しない。その場をしのげればいいのだろう。
それにしても、50歳までこの感覚のまま生きてきたのだろうか。
このブログでもたまに書くけど、口に出して言わないからと言って心の中でも同じとは限らない。
ある程度のトシになると周囲は注意をしてくれなくなるので、自分の適性についての自己評価も甘くなってしまう。
怖いですね。
モーブ。