今回の台風は凄かったですね。看板が宙を舞っていたりバス停が倒れたりしていました。
そして過ぎたあとのゴミの散乱。
だが、ゴミがゴミに見えない業種というのがあります。
そうですね、たびたび出てくる、制作をする業種です(被害に遭った方には申し訳ないが、それとは別の話)。
当時はこういうことがあると、明日はどんな思いもよらないものが転がっているんだろうとワクワクした。
とある広告会社にいた時のこと。
ある時、出社するとフロアの一角の天井のボードが崩れて落ちていた。
前日の台風の影響かと思ったが、どうやらウヨ○に襲撃されたらしかった(詳しいことは教えてもらえなかったが、銃がどうのというのが聞こえた)。
こういう業種なので、ソノ手の襲撃がたまにあったらしい。
そこで制作部のスタッフの出番ですよ。
8月5日のセシウムさん問題の時にも書いたが、制作部というのはスキあらば落書きのようなことを言ったりやったりする。
口が減らないだけではなく、机の上も好き勝手に飾りつけをして、自分にしかわからないオブジェやら自作のギャグマンガやら他人を驚かせる目的で作ったびっくりアートの数々。
そんなしつけのなっていない幼稚園児のような我々からすれば、天井のボードは天井に張り付いている時は天井だが、壊れて床に落ちたらそれは格好のエサになります。
みんなで漁って、始業前にはピラニアに襲われた後のように何もなくなった。掃除の手間が省けましたね。
私は一辺20cmくらいのと、それより一回り小さい破片の計3つをゲット。
初めはネームプレートを作ろうと思ったのだが、思ったより脆かったので机の左側に積み上げて段差のある写真立て置き場にした。
ナポレオンの肖像とアントニオ猪木の写真を飾ったのだが、猪木さんの写真は今回のウヨ○の襲撃にかこつけて、当時拳銃密輸疑惑を追求されて記者会見したときの、猪木さんが記者を指さして威嚇している写真を選出した。
そしてそういうものも大抵1ヵ月もすれば飽きて、ある日突然ゴミ箱に無造作に捨て、次のターゲットを漁るのであった。
その後しばらくして、この制作部の惨状を眼にした経営陣の不興を買ったらしく、装飾禁止令が出た。
どこの広告会社も制作部というのはこんなものなのだが、度が過ぎたらしい。
負けた…。
実写版「あしたのジョー」のボディではないが、敵に「そこまでやるのならやってもいいよ」と思わせるだけの説得力がなかったということですね。
そして、他の悪いことと同様、禁止されたものは地下にもぐる。
以降、受話器の内側、引き出しの中など、外からは見えづらいところが主に発表の場になった。
コピー機のフタを開けたら、内側の全面いっぱいに「おぼっちゃまくん」の変な顔が張り付いていた時はビビッた。
鉄納戸。