先日、レンタルショップで借りてみたシルヴィ・バルタンのベストアルバムを何度か聴いたのでその感想。
全部で24曲ある第一曲目は、最も知られていると思われる「あなたのとりこ」だった。
最近もどこかの航空会社のCMで使われ、曲に乗って飛行機がダンスをしていた映像が記憶に新しいが、最初に耳にしたのは昭和58~59年頃(おそらく)のバスバブルのCMだった。
その時も、特に誰の曲とかは関心がなかったが、凄く楽しげで明るく、ずっと耳について、後に「見てみたい昔のCM」に数えられるものになった。
他の曲についても「明るい」「楽しげ」という印象が非常に強い。
シャンソンの場合、人生の酸いも甘いも知り尽くした壮大で深遠な世界を、決して押し付けがましくなく粋に自然に歌っているというイメージだが、バルタンの場合、今まさにその人生を歩んでいる希望に満ちた明るさがある。加えてバルタンの声も明るくてかわいらしい(というと変だが、キュートな感じ)。
もちろん中には失恋の歌もある。
「恋は水色」は歌詞を見て初めて失恋の歌だとわかったのだが、恋が去ったあとの悲しみよりむしろサワヤカさが感じられる。
とにかく、どんな歌を聴いても明るさ・楽しさしか感じられないのが不思議で仕方がない。
ただし、ただ浮かれて楽しいというのでなく、フランス人が言う「これが人生」というのは、根本的にポジティブに人生を構築していこうという、精神性のようなものがしっかりしているから言えることなのではないかと思った。
そういえばフランスは、世界で始めて民主革命を起こした歴史から、人権問題については世界で最も敏感な国。
生きる上での最も根幹になる部分がしっかりしているからそこに根を下ろし、安心して人生を楽しむという生き方ができるのかもしれない。
バルタンの曲を聴いているとこちらも楽しい気分になってくる。
しっかりした精神性の上に支えられているものは、他者に訴える力も大きいのだろうか。
日本語あり、英語あり(上記「恋は水色」を英語で歌っている)、イタリア語あり、モーツァルトの曲に歌詞をつけた曲や、フラッシュダンスの主題歌と、多彩な曲が揃っていて、バルタンの幅広さを感じさせられる一枚になっている。
ラベンダー。